里山プロジェクトの特徴 大切にしていること。

近くの山の木を
用いて、
家をつくります。

今から25年前、日本各地の林産地とその近くの町を結んで「近くの山の木で家をつくる運動」が繰り広げられた。
静岡県西部では、天竜材や大井川材の木を用いて盛んに家が造られた。
この運動がユニークだったのは、山側ではなく町側から発信されたことだった。輸入材に押され、各地の山の保持が難しくなった。流域の町の水や空気は山からいただいているのだから、町の側から進んで近くの山の木を用いようと申し合わせたのだった。
天竜川と大井川は、山の奥では分水嶺を生んでいて兄弟のような川だ。この地域の杉や桧材は素性がよく、木の家に用いる材として最適である。
その材質性は、香り豊かな新築時も、歳月を経て風化を遂げた後も味わいがある。
よく風化と劣化は違うという。この地の材は、生地のまま用いることで、長い必要と、長い好みと、長い寿命に応えてくれる。あなたの家族と一緒に生きてくれる。

この運動の出発点を期すべく
発刊された、書籍『近くの山の木で家
をつくる運動宣言』(農文協)。
永六輔・坂本龍一・筑紫哲也をはじめ、
3,600人の賛同を得て立ち上げられた。
この運動は、天竜材を用いる浜松の
取り組みから始まった。

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近江五個荘の古い民家に用いられている、漁船の廃材を利用した舟板塀。
風化する木の素材性を示している。風雪に洗われた木の魅力が感じられる。

断熱気密性能の
高度化と
自然エネルギー利用へ。

2013年に省エネの「平成25年基準」が打ち出され、2025年に「適合義務化」がスタート。省エネ性能が高くなるということは、即ち一軒の屋根が受熱するエネルギーでも高い効果を得られることを意味する。
断熱性能の高度化と自然エネルギー利用は共存できるのだ。住まいは気密度を高めると室内の空気は薄くなる。換気力が求められる。提案のシステムの最大の利点は、外気を導入し集熱し、床暖房に用いながら、その空気はプラス圧になって排出されるので、暖房しながら換気ができる一石二鳥のシステムであることだ。寝苦しい夏の夜は、宇宙の放射冷却による夜間冷気を室内に取り入れる。このシステムは、当時、東京藝術大学教授で建築家・奥村昭雄が考案した。
今の円安は長期に及ぶと言われている。円安はエネルギーの高騰を呼び物価高を呼ぶ。請求書が送られてこない太陽の無限のエネルギーを用い、エアコンを用いる時間を減らしましょう。

冬の仕組み図

奧村ソーラー(びおバージョン)/大掛かりな機械装置を用いないで、自然エネルギーをダイレクトに用いるパッシブソーラー。奥村ソーラーは日本では、2万棟を超える住宅と、学校・幼稚園・高齢者施設などに利用されている。

夏の仕組み図

奧村ソーラー・びおバージョン/大掛かりな機械装置を用いないで、自然エネルギーをダイレクトに用いるパッシブソーラー。日本では、2万棟を超える住宅と、学校・幼稚園・高齢者施設などに利用されている。

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手前の森は明治神宮外苑。
背後のビルより高い超高層ビル2棟を建てるため、
外苑内のたくさんの樹木を伐採するという計画が進んでいる。

地球時代の〈街〉が
備えるべきは、
グリーンインフラ
だと思う。

神宮外苑の再開発をきっかけに、都市のグリーンインフラが問題になっている。超高層ビルや、高速鉄道だけがインフラではない。通勤通学のローカル線や、緑の公園もインフラである。
今のヒートアイランド現象に対して緑化の効果が高い。①環境への効果 ②大気の浄化 ③熱の吸収 ④防災機能 ⑤心身のストレス緩和が得られる。青々とした草木や樹木が風に揺れると、部屋の中を緑風が通る。〈緑〉は人にとって最も身近で効果的である。
生物多様性条約(COP15「昆明・モントリオール生物多様性枠組」)は、生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性の3つのレ ベルで決議を見た。
地球上の生きものは一つひとつに個性があり、すべて直接にあるいは間接的に支えあって生きているのである。それは地球40億年の進化の歴史が生んだ遺産そのものである。

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地球の酸素の3分の2は、
昆布など海面近くで育つブルーカーボンによる。

家並みは
土地の形状に
したがう。

写真は、京都の八坂神社と清水寺を結ぶ三寧坂を上から撮った写真である。屋根の高さはバラバラだけど、土地の形状にしたがっているのでムリがなく、絶妙のプロポーションが保たれている。
宇刈の土地も、三寧坂ほど急ではないけど、後背に山から傾斜する高低差があり、この高低差は微妙に複雑である。
それがどんな屋根の連なりを生むのか楽しみである。屋根の連なりだけでなく、地べたの植栽工事もしたがわなければならず、足元を照らす夜の灯りをどうするかも楽しみ。
フランク・ロイド・ライトは「まず土地を見よ、土地がすべてを教えてくれる」と言った。この御仁、とんでもない住宅「落水荘」を生んだ。この言葉を自問自答しながら設計したんだろうなぁ。

三寧坂

三寧坂

落水荘

落水荘
アメリカのピッツバーグから車で2時間、
自然豊かな山の中に建てられた住宅。(竣工1936年)

フランク・ロイド・ライト

フランク・ロイド・ライト
ライトは、砂浜に生息する蛤は砂浜にふさわしい表情を持ち、磯に生息するサザエは磯にふさわしい表情を持っていて、それぞれに美しく、そのデザインの意味を貝から教えられたという。

計画図を見ながら、
ぐるり散歩
してみました。

市道から見ると左側に十一本の栗の並木が見えます。栗の木は四季の顔を持っていて、葉が茂る夏は並木の向こうの家は見えませんが、収穫の秋になると栗の木のイガグリも葉も落ちて、木立の向こうに木の家が顔を見せます。
コモンから栗並木に通じる散歩道は少し幅広で、木立の下にベンチがあって、ここで本を読んだり、編み物したり、おしゃべりしたりすると時間を忘れそう。身体が冷えて目を覚ましたら、芝生の上の電灯や家々の門扉の灯りがきれい。感じたことは、ここなら住人それぞれに自分の居場所が持てるのでは、ということでした。それぞれの好みに合わせて選べそうだと。
敷地の高低差をいかしながら、自生種の草花が根づいています。その表情がいいんだね。花びらは小さく、色も薄くてね。

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